魅力的な面接をするための練習問題の回答例



練習問題の回答です。先にこちらのページを御覧ください。
魅力的な面接をするための練習問題

さあ、先ほどの文章と、それにちょっとだけ手を加えてみた例とを比べてみましょう。

<オリジナル>
「自分は音楽サークルに所属しています。課題の多かった学部に所属していたので、サークル活動を続けるのは大変でした。年に一度のライブイベントの運営の責任者を任されました。後輩達が言うことを聞かなくて大変でしたが、リーダーシップを発揮して、イベントを成功させました。」

そして、「ものさし」付きの例です。
「自分は音楽サークル活動を3 年間続けています。他の2 倍の課題が出る学部に所属していたので、サークル活動を続けるのは大変で、半分以上の学生が途中で辞めてしまいました。他にも同級生に候補がいたのですが、年に一度のライブイベントの運営の責任者に選ばれました。100 人もいる後輩達が言うことを聞かなくて大変でしたが、リーダーシップを発揮して、昨年よりも多い3000 人の観客を満足させる運営ができ、イベントを成功させました。」

今度はどうでしょうか。この学生が、置かれていた状況や、サークルやイベントのスケール、責任の大きさがわかるようになりました。

この二つの話を聞いた面接官の質問は「まったく」違います。
まず、オリジナル案を聞いた面接官がする質問と回答は以下のようなものでしょう。
Q:「なぜあなたの学部は課題が多かったの?」
A:「担当の教授が厳しく、自分で調べた結果をレポートさせるタイプだったからです。」

Q:「ライブイベントの運営ってどんなことをやるの?」
A:「チケットデザインを発注したり、司会との打ち合わせなどです」

Q:「後輩たちはどんな対応だったの?」
A:「無断でミーティングを欠席したり、アイディア出しのスケジュールを守らなかったり大変でした」

このやり取りを通じて、面接官はこの学生の人格や可能性を見出すことはできるでしょうか。できませんよね。面接官が抱く印象としては以下のような感じでしょうか。

「よくある音楽サークルに所属していたんだな。課題が多いといっても、サークルができるくらいだから、たいしたことはないのかもな。サークルの発表会みたいなイベントの運営といっても、この間の学生と同じように、チケットやポスターの制作程度なんだろうな。言うことをきかない後輩なんて普通は何人かいるしな。まぁよくいる普通の学生だね。」

面接時間は限られています。30 分くらいが平均的と思います。学生の一生懸命しゃべるでしょうから、体感する時間は15 分くらいに感じると思います。その貴重な時間を、このようなやり取りでつぶしてしまうのです。

あなたがやってきたことや、あなた自身の個性について語ることもなく、面接を終えるのです。こんなにもったいないことはありません。

では、「ものさし」付の案を聞いた面接官がする質問と回答はどうでしょうか。
Q:「課題がすごく多かったみたいですね。サークルとの両立は何か工夫したのですか?」
A:「はい。サークル活動は短時間で集中できるように、事前準備を必ずしました。 課題も通学電車の中でノートにまとめたり、お風呂で教科書を読むなどして時間を作りました。」

Q:「あなたが責任者に選ばれた理由は何だと思いますか?」
A:「もう一人の候補の人と比べると、普段から多くの人をまとめるような役割をしていたからだと思います。」

Q:「100 人も後輩がいると、彼らをまとめるのは大変だったと思いますが、何か心がけたことはありますか?」
A:「はい。後輩の中にもリーダー格の学生がいるので、まずは彼らのモチベーションを上げることが大事だと考え、それぞれに役割を与えるようにしました。」

Q:「3000 人の観客というのは、予定より多かったのですか?」
A:「はい、当初は例年と同じ2000 人を予想していたのですが、私の発案でペアチケットのほかに、お得な3 人用チケットを作りました。きっとその効果もあったと思います。」

いい面接になりましたね。きっとこの面接官がこの学生に抱く印象は、
「2 倍の課題となると、ちょっと大変だっただろうな。そうだとすると困難なことを工夫して乗り越えられる人だな。何ごとにも努力ができるタイプだろう。多くの人を動かすリーダーシップも持っている。そのアプローチの仕方も理にかなっているし、それをうまく説明できている。かなり大きな規模のイベントをやる本格的なサークルのようだから、その責任者ともなると仲間や先輩からの信頼もあるのだろう。チケットのデザインだけでなく、観客動員を増やすための案を実現させるという実行力もあるね。これはぜひ次の面接に進んでもらいたいな。」

これが「ものさし」の効果なのです。
「え? 「ものさし」ってこれだけ?」
「ふざけんなよ、簡単なことじゃないか!」
と思った人もいるかもしれません。

そうです。聞いてしまえば簡単なアドバイスなんです。では、今すぐに、あなたのエントリーシートを見直してみてください。すでに終わってしまった面接を振り返ってください。伝わっていますか?

あなたがやったことが、「どれくらい」すごいことなのか、すばらしい事なのか、大変だったのか、重要だったのかなどを具体的にイメージさせることが、エントリーシートや面接でもっとも重要なのです。

簡単なことですが、できていないんです。ほとんどの学生が。

でも、これに気づかずに落選している学生が、どんなに多いことでしょう。とくに「ゆとり就活生」世代は、本当にできていないんです。先輩訪問を受けるたびにエントリーシートの採点をしてあげたり、模擬面接をやってあげるのですが、終わったあとにアドバイスのほとんどは、この「ものさし」の有無です。

「ものさし」の無い返答に対して、私が「ものさし」を追加した例を教えてあげるだけで、その学生の表情が見る見る変わっていくのです。 明るくなっていきます。

きっと、自分のやってきたことがとても素晴らしいことで、自分は自分が思うほど悪くない人間だと思えるようになったのでしょう。自分がそういう風に思うくらいですから、これを聞いた初対面の面接官がどのように感じるかは言うまでもありません。




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